旅先での撮影って、毎回なにかしらうまくいかないことがあります
でも、その失敗こそが自分を成長させてくれた、今ではそう思えるようになりました。
私もこれまで、タイをはじめアジア各国を旅しながらカメラを構えてきました。
そのたびに「あと少しで完璧だったのに…!」という後悔を何度も経験しています。
この記事では、僕自身のリアルな失敗談とそこから得た教訓を紹介します。
これを知っておくだけで、次の旅では同じミスをきっと防げるはずです。
強烈な日差しにやられた|光を読む大切さ

東南アジアの光は本当に強い。
私が初めてタイで撮影したとき、オートに頼りきりで白飛びだらけになりました。
あの時の教訓は、海外では「光を読む」ことがすべての基本。
旅スナップでは、常に露出補正を低めに設定。
特に逆光では、被写体よりも背景を守る意識を持つだけで全然違います。
F2.8の明るいレンズ(私は NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S)があれば、日差しの強い国でも自然な陰影を残せます。
夜景がすべてブレた|ISOを恐れない勇気

海外の高層バーで夜景を撮ったときのこと。
最高のロケーションだったのに、帰国後のデータはブレ写真だらけ。
「明るい街だから大丈夫」と油断していたんです。
その経験で学んだのは、夜は“明るさ”より“ブレ防止”を優先すること。
ISOを上げても構いません。
ノイズよりも、ブレの方が致命的です。
シャッタースピードは最低でも1/100秒以上をキープ。
そして、明るいF2.8レンズなら手持ちでも驚くほど綺麗に撮れます。
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撮りすぎて“何を撮りたかったのか”を忘れた


旅のテンションが上がると、つい何でも撮ってしまう。
市場、屋台、街角、人、猫…でも帰国して見返すと、似たような写真ばかりで“伝わる写真”が少ない。
そこで得た教訓は、シャッターを押す前に、一呼吸置く。
「この光景のどこに惹かれたのか?」を考えてから撮るだけで、写真の印象が全く変わります。
撮る枚数が減る代わりに、“思い出せる写真”が増えるんです。
人を避けすぎた|写真に「温度」を加えるということ


旅先で写真を撮っていると、つい「人がいない瞬間」を狙いたくなる。
建物も路地も、誰も写っていない静かな風景の方が整って見えるからです。
私も以前はそうでした。
タイの街でも、人の流れが途切れた瞬間を待ってシャッターを切る。
でも、帰国して見返すと、どの写真も空気はあるのに温度がない。
“その国で生きている人の気配”が抜け落ちていたんです。
その経験から、今はあえて人をフレームの一部に入れるようにしています。
例えば、
- 屋台の後ろを通り過ぎる誰かの影
- カフェの窓越しに映る人の動き
- 遠くに写るバイクのブレ
それだけで写真に“時間”が流れ始める。
完璧な構図ではなくても、そこに生きている感じが残るんです。
人を主役に撮る必要はありません。
でも、人の存在が“旅の温度”を写すスパイスになる。
それに気づいた時、私の写真の中に静けさと動きの両方が生まれました。
雨で焦った|想定外に強くなる旅の準備


旅先では、天気予報なんてほとんど当たりません。
晴れると思って軽装で出かけたら、いきなりスコール。
国内に限らず海外でも、そんな経験を何度もしました。
ある時は、カメラバッグに屋台のビニール袋をかぶせて凌ぐという、なかなかサバイバルな一日もありました。
でもその経験で学んだのは、「完璧な準備よりも、柔軟に対応できる心構え」の方が大事だということ。
私は今でも専用のレインカバーなんて持っていません。
でも、撮影中に雨が降りそうな時は、
- カメラを抱えて軒下に避難
- 撮りたい構図を頭にキープして、雨が弱まった瞬間に再開
- 水滴がついたらマイクロファイバーで軽く押さえるだけ
この“無理しない撮影判断”が、結果的に機材を守り、撮影を続けられるコツだと思っています。
そしてもう一つ気づいたのは、雨の日は光が柔らかく、写真が静かになる。
傘をさして歩く人、濡れた路面の反射、晴れの日では撮れない“詩的な瞬間”がそこにあります。
雨を避けるのではなく、雨を撮る日に切り替える。
そう考えた瞬間、天気のストレスがなくなりました。
その一瞬を心で感じてから撮ると、不思議と写真に“感情”が宿るんです。
まとめ:失敗は、写真の目を育てる時間
海外での撮影は、思い通りにいかないことの連続です。
天気も、人も、光も、そして自分の心の状態さえも、すべてが変化します。
けれど、振り返ってみると、失敗した日ほど強く記憶に残っている。
露出を外した夕暮れ、ブレた夜景、撮りすぎて迷った1日。
その一つひとつが、“どう撮りたいか”を見つめ直すきっかけになりました。
写真は、上手く撮れた枚数ではなく、「自分がどう感じたか」を残していくもの。
そして、失敗を繰り返すたびに、見えなかった光や、見逃していた瞬間に気づけるようになる。
旅を重ね、失敗を重ねるほど、あなたの中に“写真の目”が育っていきます。
だからこそ、失敗を恐れず、今日もカメラを持って歩き出そう。
次の一枚は、きっと今よりも“深い旅の記録”になる。
