海外旅行に出ると、昼間の観光名所だけでなく「夜景を撮りたい」と思う方も多いでしょう。
見慣れない街の光や歴史的な建物のライトアップは、日本ではなかなか見られない特別な景色です。
ところが実際には、旅行中に重い三脚を持ち歩くのは大変ですし、観光地によっては三脚が禁止されている場合もあります。
では、三脚がなくても夜景を綺麗に撮ることは可能なのでしょうか?
答えは「YES」。カメラの設定や構え方、レンズの工夫次第で、三脚なしでも印象的な夜景を残すことができます。
この記事では、私自身の海外旅行での経験をもとに、三脚なしで夜景を撮る方法とコツ を紹介します。
なぜ「三脚なし夜景撮影」が必要なのか

三脚なしで夜景を撮る理由は単に荷物を軽くしたいからだけではありません。
- 多くの観光地で三脚の使用が禁止されている
- 混雑した場所で三脚を立てるのは危険&迷惑になりやすい
- 移動が多い旅行では三脚を持ち歩くのが負担
私自身も海外の街角で夜景を撮影してきましたが、三脚を立てられる場所は意外と少なく、結局“手持ち撮影”が主流にならざるを得ないことを実感しました。
だからこそ「三脚なしでも撮れる方法」を知っておくことはとても重要です。
三脚なしでも夜景を撮るための基本の考え方
手ブレを防ぐ姿勢と構え方
手持ち撮影で一番の敵は「手ブレ」です。
両肘を体にしっかり固定し、ファインダーを覗くようにして脇を締めるだけで安定感が増します。
もし地面や壁があれば、そこに体を預けるのも有効です。
安定した場所にカメラを置く工夫
三脚がなくても、街のベンチや石垣、手すりにカメラを置けば擬似的に固定できます。
私はタイ・バンコクの寺院前で手すりにカメラを置き、長秒撮影をしたことがありますが、しっかり安定させれば驚くほど鮮明に撮影できます。
カメラ設定でできる工夫

ISO感度の上げ方とノイズ対策
暗い場所ではISOを上げる必要があります。
ISO3200〜6400程度まで上げれば、手持ちでも夜景を十分撮影可能です。
ただしノイズが気になるので、RAWで撮影して後から現像時にノイズ低減をかけるのがベストです。
絞りとシャッタースピードのバランス
F値はなるべく開放気味に設定し、シャッタースピードは1/30秒以上を目安にします。
被写体が動いていない建物や風景なら、1/15秒程度でも意外と撮れます。
ただし人物を入れるときは1/60秒程度まで上げたほうがブレを防げます。
手ブレ補正機能を活かす
最近のカメラには強力な手ブレ補正が搭載されています。
ボディ内手ブレ補正(IBIS)がある機種なら、1秒近いスローシャッターでもブレずに撮れることもあるので積極的に活用しましょう。
レンズの選び方と活用法

明るい単焦点レンズの強み
F1.4やF1.8といった大口径単焦点は、夜景撮影に強い武器です。
光量不足を補えるため、シャッタースピードを稼ぎやすく、ノイズを抑えた写真を残せます。
海外旅行では小型・軽量なのも魅力で、街歩きのお供に最適です。
標準ズームでの実用的な設定
観光メインの旅行では標準ズーム1本に頼る場面が多いですが、F4通しのレンズでもISOを上げれば十分夜景は撮れます。
広角側を活かせば、被写界深度も稼げるので建物全体をくっきり写すことが可能です。
大三元レンズで夜景を撮るメリット
夜景撮影で心強いのが 大三元レンズ(F2.8通しの広角・標準・望遠ズーム)。
三脚なし撮影では光量不足が悩みになりますが、F2.8まで開放できる大三元なら明るさを確保でき、手持ちでも安定した撮影が可能です。
さらに「夜景全体にピントを合わせたい」ときに懸念されるのが被写界深度ですが、F2.8でも広角側を使えば全体的にピントが合いやすいという利点があります。
つまり、大三元レンズは「明るさの確保」と「描写の柔軟さ」を兼ね備えた、海外での夜景撮影に最適な選択肢のひとつです。
ちなみに私が愛用している大三元レンズは、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8です。
こちらの記事で紹介していますので、気になる方は合わせてご覧下さい。
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海外で役立つ実践テクニック


街灯や建物の明かりを利用する
観光地の夜景は街灯や建物のライトアップが豊富です。
これを上手に利用すれば、自然な照明で雰囲気ある写真が撮れます。
動く被写体をシルエットとして活かす
夜景では人や車がブレやすいですが、逆にそれを利用してシルエットや光の軌跡として表現するのも面白い方法です。
背景に現地の文化を写し込む
ただ夜景を撮るだけでなく、市場の屋台や寺院、モスクなどその国ならではの要素を背景に入れると、写真の物語性が一気に増します。
私がタイで撮った写真では、寺院の金色のライトアップと前を歩く猫のシルエットを一緒に収めたものが特に印象に残っています。
まとめ:三脚がなくても夜景は撮れる
海外で夜景を撮るとき、必ずしも三脚は必要ではありません。
カメラの構え方や設定を工夫し、レンズの特性を理解すれば、手持ちでも十分美しい夜景が撮れます。
- ISO感度を上げて光を確保する
- F値とシャッタースピードをバランス良く調整する
- 単焦点や大三元レンズで光量不足を補う
- 背景に文化や生活感を入れることで、旅らしい写真に仕上げる
これらを意識すれば、海外の夜もカメラにとって素晴らしい被写体に変わります。
「三脚がないから夜景は無理」と諦める必要はありません。
身軽な装備でも、十分にドラマチックな一枚を残せるのです。
他にも「海外旅行で不要だったカメラ機材5選」なども紹介していますので、旅行の際に合わせて参考にしていただければと思います。
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