NikonのZマウントシステムが登場して以来、標準ズームの中でも「実用性の高さ」で評価を集めてきたのが NIKKOR Z 24-120mm f/4 S です。
高倍率ズームでありながら描写にも妥協がなく、1本で幅広い撮影に対応できる点が大きな魅力とされています。
私自身、このレンズを導入してから約1年にわたり、風景やスナップ、旅行などさまざまなシーンで使い続けてきました。
使い始めた当初は「便利さ」が印象に残りましたが、撮影を重ねるにつれて、画質や操作性のバランスの良さがじわじわと効いてくるレンズだと感じるようになりました。
本記事では、短期間の試用では分かりにくい実際の使用感や、1年使い続けたからこそ見えてきたメリット・デメリットを、率直な視点でまとめています。
これから購入を検討している方はもちろん、すでにZマウントを使っている方にとっても、レンズ選びの参考になれば幸いです。
それでは早速本題にいきましょう!
レンズ概要と位置づけ
「NIKKOR Z 24-120mm f/4S」の概要

| 焦点距離 | 24mm-120mm |
| フォーカス | AF(オートフォーカス) |
| 対応撮像画面サイズ | フルサイズ |
| 絞り | 最小 f4 – 最大 f22 |
| レンズ構成 | 13群16枚(EDレンズ3枚、ED非球面レンズ1枚、非球面レンズ3枚、ナノクリスタルコートあり、アルネオコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり) |
| 絞り羽根 | 9枚 |
| 撮影距離 | 最短 0.38m – 最大 ∞ |
| フィルター径 | 77mm |
| マウント | Nikon Z |
| 重さ | 630g |
| 付属品 | レンズキャップ77mm LC-77B(スプリング式)、裏ぶた LF-N1、バヨネットフード HB-102、レンズケース CL-C2 |
どんなユーザー向けのレンズか
この NIKKOR Z 24-120mm f/4 S が特に向いているのは、次のような撮影スタイルの方です。
- 旅行や風景、スナップを中心に撮ることが多い
- できるだけレンズ交換を減らし、身軽に撮影したい
- 便利さだけでなく、画質や操作感にも妥協したくない
撮影に出かけるたびに複数のレンズを持ち歩くのではなく、「今日はこれ1本で撮り切る」そんなスタイルがしっくりくる人に向いています。
高倍率ズームというと、どこか「画質を犠牲にする選択」というイメージを持たれがちですが、このレンズに関してはその印象はあまり当てはまりません。
むしろ 撮影の自由度やテンポを重視した結果として選ばれる1本、そんな位置づけのレンズだと感じます。
特に…
- 24-70mm f/2.8 Sの画質は魅力だが、重さが気になる
- 標準ズームは1本で完結させたい
- 撮影中にレンズ交換で流れを止めたくない
と感じている方にとっては、非常に現実的で、長く付き合える選択肢になるはずです。
外観・ビルドクオリティ

描写性能やスペックが注目されがちなレンズですが、実際に長く使い続ける上では、外観や作りの良さも重要なポイントになります。
毎回手に取り、持ち歩き、操作するものだからこそ、質感やバランスの違いは撮影体験そのものに直結します。
その点で NIKKOR Z 24-120mm f/4 S は、スペック表だけでは伝わりにくい「使っていて気持ちのいい作り」を備えたレンズです。
S-Lineらしい質感と操作性
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S を手に取ってまず感じるのは、S-Lineらしい落ち着いた質感と、全体の作りの良さです。
装飾を抑えたシンプルなデザインで、視覚的な主張が少なく、撮影時に意識が散りにくい点が好印象です。
マットな外装は指紋や汚れも目立ちにくく、屋外でラフに使っても神経質にならずに済みます。
ズームリングは適度なトルク感があり、軽すぎず重すぎない、ちょうど良い操作感。
構図を微調整したいときでも狙った位置でピタッと止まり、安価な高倍率ズームにありがちな「スカスカ感」は感じません。
フォーカスリングの操作感も滑らかで、マニュアルフォーカスを使う場面でも違和感なく扱えます。
携帯性とバランス
重量は約630gと、決して軽量とは言えませんが、焦点距離が24-120mmまでカバーできることを考えると、サイズ・重量ともにかなりバランスが取れていると感じます。
Z6系やZfなどのボディと組み合わせても前後の重量バランスが良く、長時間首から下げて歩いても、極端に前玉が重く感じることはありません。
実際に使っていて印象的なのは、「持ち出すこと自体が苦にならない」という点です。
撮影に行く前にレンズ選びで悩むことが減り、結果的にカメラを持ち出す回数が増えました。
防塵・防滴を意識した設計も含め、多少天候が不安定な日でも「とりあえず持っていこう」と思える安心感があります。
こうした積み重ねが、このレンズの“使い勝手の良さ”につながっているように感じます。
描写性能について

NIKKOR Z 24-120mm f/4 S の描写性能については、「高倍率ズームだからこの程度だろう」と思っていると、良い意味で期待を裏切ってくるレンズだと思います。
ズーム全域を通して大きな破綻がなく、どの焦点距離でも安定した描写が得られる点が、このレンズの大きな特徴です。
特定のレンジだけが突出して良いというよりも、全体のバランスが非常に整っている という印象を受けます。
24mm側の解像感・歪曲
広角端の24mmでは、中央部分は開放F4から十分にシャープで、風景撮影でも細部までしっかり描写されます。
S-Lineらしくコントラストも高めで、撮って出しのJPEGでもメリハリのある画になります。
RAW現像する場合も、シャープネスを強くかけなくても成立する描写です。
周辺部についても、高倍率ズームとしてはかなり健闘していて、極端な甘さを感じる場面は多くありません。
建築やスナップなど、画面全体を使う構図でも安心して使えます。
歪曲についてはカメラ内補正を前提とした設計ですが、実写で違和感を覚えることはほとんどなく、撮影時に気にする必要はないレベルだと思いました。
50〜70mm付近の描写
50〜70mm付近は、このレンズの中でも特に描写が安定しているレンジです。
解像感・コントラスト・色のりのバランスが良く、スナップや日常撮影では非常に使いやすい印象があります。
被写体の質感も自然で、過度にシャープすぎない点も好印象です。
この焦点距離では、「高倍率ズームを使っている」という意識が薄れ、標準ズームとしてごく自然に使える感覚があります。
迷ったらこのレンジで撮っておけば、後で見返しても安心できる描写が得られることが多いです。
120mm側の解像感と描写傾向
望遠端の120mmは、高倍率ズームでは最も評価が分かれやすいポイントですが、このレンズに関してはネガティブな印象はあまりありません。
確かに広角側と比べると、わずかに解像感が落ち着く印象はありますが、実写で見て「甘い」と感じる場面は少なく、十分に実用的なレベルを保っています。
被写体との距離を取ることで圧縮効果も得やすく、風景の切り取りやスナップでは画づくりの幅が一気に広がります。
F4という開放値も相まって、背景との距離が取れる場面では、被写体が自然に浮き上がるような描写になることもあり、「120mmまで使える」という安心感は想像以上に大きいです。
色のり・コントラスト・全体の印象
色のりはニュートラル寄りで、派手さはありませんが、その分扱いやすい描写です。
被写体の色を素直に再現してくれるため、後処理で好みに寄せやすい点もメリットだと感じます。
コントラストも過度ではなく、逆光耐性も含めて安定感があります。
撮影条件を選ばず、どんなシーンでも一定以上の結果を持ち帰れる、そんな信頼感のある描写性能です。
ボケ味と立体感
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S は、F4通しのズームレンズということもあり、ボケ量そのものを強くアピールするタイプのレンズではありません。
ただ実際に使ってみると、「思っていたよりも立体感が出るな」と感じる場面は意外と多くあります。
特に被写体との距離や背景の整理を意識すると、F4というスペック以上に、自然で見やすいボケを作りやすい印象です。
自然で扱いやすいボケ描写
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S はF4通しのズームレンズのため、ボケ量そのものを強く主張するタイプではありません。
ただ実際に使ってみると、前ボケ・後ボケともにクセが少なく、背景がうるさくなりにくい描写だと感じます。
高倍率ズームにありがちなザワつきも抑えられており、被写体の輪郭を邪魔せず、写真全体をすっきりまとめてくれます。
玉ボケも極端に硬くならず、場面によっては柔らかく素直な印象。
「ボケを主役にする」というより、背景を自然に整理するためのボケと捉えると、このレンズの性格が分かりやすいと思います。
焦点距離による立体感の作りやすさ
立体感については、焦点距離による違いがはっきりと感じられます。
24mm付近では、ボケ量は控えめながら、被写体に寄ることで遠近感を活かした表現が可能です。
風景やスナップでは、奥行きを感じさせる構図が作りやすくなります。
一方、70〜120mmでは圧縮効果が効き、F4でも被写体が自然に浮き上がるような描写になります。
特に120mmは、背景との距離が取れる場面で分離感が出やすく、「この焦点距離まで使えることの強み」を実感できます。
派手なボケ表現こそ控えめですが、構図や距離を意識することで、無理のない立体感を作りやすいレンズ。
長く使うほど、このバランスの良さが効いてくると感じます。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sとの比較

描写傾向とレンズとしての性格の違い
NIKKOR Z 24-120mm f/4 SとNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは、どちらもZマウントを代表する標準ズームですが、レンズとしての方向性ははっきり異なります。
24-70mm f/2.8 Sは、開放からの解像感やコントラストの高さが際立ち、被写体の質感をしっかり描き切るタイプのレンズです。
ボケ量にも余裕があり、表現そのものを重視した撮影では、今でも基準となる存在だと感じます。
一方、24-120mm f/4 Sは、描写の鋭さを一点で突き詰めるというよりも、ズーム全域での安定感と使いやすさを重視したレンズです。
画質面で大きく破綻する焦点距離がなく、どのレンジでも安心してシャッターを切れるという強みがあります。
実写で比べると、確かに解像感やボケ量では24-70mm f/2.8 Sが若干有利ですが、「写真としての完成度」という点では、24-120mm f/4 Sも十分に高いレベルにあります。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sも紹介していますので、合わせてご覧ください。
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実際の撮影スタイルで感じる違い
撮影スタイルによる使い分けも、この2本を考える上で重要なポイントです。
24-70mm f/2.8 Sは、撮りたい被写体や表現がある程度決まっている場面で力を発揮します。
背景を大きくぼかしたいときや、被写体を際立たせたい撮影では、F2.8という明るさが大きなアドバンテージになります。
一方で、レンズ交換を前提としない撮影や、被写体との距離が読めないシーンでは、24-120mm f/4 Sの守備範囲の広さが大きな武器になります。
実際に使っていると、「今日はどんな被写体に出会うか分からない」「撮影テンポを止めたくない」といった場面では、24-120mm f/4 Sを選ぶ機会が自然と増えます。
どちらが上というよりも、
- 表現重視・撮影意図が明確 ➡ 24-70mm f/2.8 S
- 機動力重視・撮影体験優先 ➡ 24-120mm f/4 S
というように、撮影の目的によって最適解が変わる関係だと感じます。
「NIKKOR Z 24-120mm f/4S 」の価格
各種通販サイトで¥136,182で販売されています。
以下のサイトから販売状況をご確認ください。
「NIKKOR Z 24-120mm f/4S 」の写真作例
Nikon ZRに装着して撮影しました。


















「NIKKOR Z 24-120mm f/4S」を2年間使って感じたメリット・デメリット
メリットとデメリット、それぞれありますのでまとめてみました。
メリット
- レンズ交換が不要な安心感
- 高倍率とは思えない描写力
- 持ち出す頻度が確実に増える
デメリット
- F4固定という割り切り
- サイズは決して小さくない
- 価格は気軽とは言えない
まとめ|NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sは「使うほど評価が上がるレンズ」
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S は、スペック表を眺めたり、短時間の試写をしただけでは、魅力がすべて伝わりにくいレンズだと感じます。
高倍率ズームと聞くと、「便利そうだけど、画質はそこそこなのでは?」といった印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし実際に使い続けてみると、描写・操作性・守備範囲のバランスが非常によく、撮影中のストレスを確実に減らしてくれるレンズだということが分かってきます。
特定のシーンで強烈な個性を主張するタイプではありませんが、どんな状況でも安定した結果を持ち帰れる安心感があります。
その結果、撮影前にレンズ選びで悩むことが減り、気づけばカメラを持ち出す頻度そのものが増えている、そんな変化を感じる方も多いはずです。
F4通しというスペックについても、使っていくうちに「割り切り」ではなく、撮影体験を快適にするための設計 だと自然に納得できるようになります。
ボケ量や明るさを最優先するレンズではありませんが、構図や被写体との距離を意識すれば、十分に立体感のある写真を撮ることができます。
派手さはありません。それでも、気づけば一番使っていて、振り返ると一番信頼している。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S は、そんな存在のレンズであり、く付き合うほど評価がじわじわと上がっていく1本だと感じています。
以上、「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」についてのご紹介でした。
今回紹介したレンズはこちら
他にもNIKKOR Zレンズをご紹介していますので、合わせてご覧下さい。
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